AI用語集

大規模言語モデル(LLM)の用語(25語)

ChatGPTなどの「言葉を扱うAI」の中身を、仕組み・育て方・上手な使い方の順に、専門知識ゼロから理解するための分類です。

収録 25語最終更新 2026-09-08

この分類の言葉が、実務のどこで出てくるか

トークン・コンテキストウィンドウ・パラメータといった言葉は、そのまま利用料と処理できる分量に直結します。見積書の単位を読むとき、あるいは「なぜ長い資料を一度に読ませられないのか」を説明するときに要る言葉です。AI受託開発の要件を詰める場面でも同じ語彙で話すことになります。

収録している用語(25語)

大規模言語モデルダイキボゲンゴモデルLLM / Large Language Model

ざっくり膨大な文章を読み込んで「次に来る言葉」を予想できるようになった、超物知りな文章生成AIです。

大規模言語モデル(英語でLarge Language Model、略してLLM「エルエルエム」)は、インターネット上の本・記事・会話など、とてつもない量の文章で訓練されたAIです。やっていることは意外とシンプルで、文章の続きとしてもっともそれらしい言葉を1つずつ選んでいるだけ。ベテラン社員が「この書き出しなら、次はこう続くな」と自然に文章を埋められるのと同じ感覚を、桁違いの読書量で身につけたイメージです。ChatGPTやClaudeなどの正体がこのLLMです。

使いどころ問い合わせメールの下書き、議事録の要約、提案書のたたき台づくりなど、文章にまつわる仕事の「最初の一歩」を任せられます。

GPTジーピーティーGPT / Generative Pre-trained Transformer

ざっくりOpenAI社がつくったLLMのシリーズ名で、ChatGPTの心臓部にあたるものです。

GPTは英語のGenerative Pre-trained Transformer(生成的・事前学習済み・トランスフォーマー)の頭文字で、「文章を生成する」「あらかじめ大量に学んでおく」「トランスフォーマーという仕組みを使う」という三つの特徴をそのまま名前にしたものです。GPT-4、GPT-5…と世代が上がるほど賢くなってきました。社名のような「ブランド名」だと考えると分かりやすく、同じLLMでもGoogleの「Gemini」やAnthropicの「Claude」は別ブランドにあたります。

使いどころChatGPTを業務で使うとき、裏で動いているのがこのGPTです。世代を選べる場面では、難しい作業ほど新しい世代を選ぶと精度が上がります。

BERTバートBERT / Bidirectional Encoder Representations from Transformers

ざっくり文章を「前からも後ろからも」読んで、意味を深く理解することが得意な、Googleが発表した言語AIです。

BERT(バート、Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、2018年にGoogleが公開した言語モデルです。GPTが「文章を続けて書く」のが得意なのに対し、BERTは文章全体の意味をつかむのが得意で、検索の精度向上や文章の分類などに使われてきました。穴埋め問題を解くように、前後の文脈から隠れた単語を当てる訓練で言葉を覚えたのが特徴です。今の対話型AIの直接の主役ではありませんが、言語AIの歴史を語るうえで欠かせない一台です。

使いどころ大量の問い合わせメールを「クレーム/質問/その他」に自動仕分けするなど、文章を読んで分類・判定する裏方の仕組みに向いています。

アテンション機構アテンションキコウAttention Mechanism

ざっくり文章の中で「今どの言葉が大事か」を見分けて、そこに注意を集める仕組みです。

アテンション機構(注意機構、Attention Mechanism)は、AIが文章を読むときに「すべての単語を平等に扱う」のではなく、関係の深い単語ほど重く見るための仕組みです。たとえば「先週ご依頼いただいた見積もりの件ですが」という一文で、「件」が何を指すかを判断するには「見積もり」に注目する必要があります。これを自動でやってくれるのがアテンションです。会議で大事な発言だけを聞き分けるベテランの集中力に近く、これが現代のLLMが急に賢くなった土台になっています。

使いどころ直接設定する場面はありませんが、「長いメールでもAIが要点をつかんで返してくれる」のはこの仕組みのおかげだと理解しておくと、AIの得意・不得意が読めるようになります。

自己注意ジコチュウイSelf-Attention / セルフアテンション

ざっくり同じ文章の中で、単語どうしがお互いの関係を見比べ合う仕組みです。

自己注意(セルフアテンション、Self-Attention)は、アテンション機構の一種で、一つの文章の中で単語どうしを照らし合わせるやり方を指します。「自己」とは「同じ文章内で完結している」という意味です。たとえば「田中さんが鈴木さんに電話したが、彼は不在だった」という文で、「彼」が田中さんか鈴木さんかを、文中の他の言葉と見比べて判断します。社内の全員がお互いの担当を把握し合っている状態に近く、これによって長い文章でも筋の通った理解ができるようになります。

使いどころ長文の契約書や議事録をAIに要約させたとき、文脈を取り違えずに整理してくれる土台になっています。仕組みを知っておくと、曖昧な指示語を多用しないなど、AIに伝わりやすい文章のコツが分かります。

事前学習ジゼンガクシュウPre-training

ざっくり特定の仕事を覚える前に、まず大量の文章で「言葉の常識」を身につけておく段階です。

事前学習(Pre-training)は、LLMを育てる最初の大きな工程で、膨大な文章を読ませて言葉の使い方や世の中の一般常識をまるごと覚えさせます。新入社員がいきなり専門業務に入るのではなく、まず一般教養と社会人の基礎を身につけるのに似ています。この段階でかかる費用と計算量は莫大で、ふつうの企業が自前でやることはまずありません。ここで土台を作った「素のモデル」に、あとから特定業務向けの仕上げ(ファインチューニングなど)を加えていきます。

使いどころ事前学習は大手AI企業が担う部分です。私たちユーザーは、できあがったモデルに自社の事情を教える「仕上げ」側に集中すればよい、と役割分担を理解しておくと判断が速くなります。

ファインチューニングファインチューニングFine-tuning

ざっくりすでに賢いAIに、自社専用の追加トレーニングをして「うちの仕事仕様」に育て直すことです。

ファインチューニング(Fine-tuning、微調整)は、事前学習で一般教養を身につけたAIに、自社の文書や対応例を追加で学ばせて、特定の業務に強くする作業です。中途採用したベテランに「うちの会社のやり方・言い回し・お客様の特徴」を研修で覚えてもらうのとそっくりです。たとえば自社の問い合わせ対応の良い回答例を数百件学ばせると、いつもの社風に沿った返信ができるようになります。ただし良質なデータを大量に用意する手間と費用がかかるため、「まずはプロンプトの工夫やRAGで足りないか」を先に検討するのが2026年現在の定石です。社風や口調を丸ごと寄せたいときに効く一方、最新の社内情報を反映する用途には次に紹介するRAGの方が向きます。

使いどころ自社特有の専門用語が多い見積書作成や、決まった文体での顧客対応など、「毎回ほぼ同じ型の文章を、自社らしく大量に作りたい」業務で効果を発揮します。

指示チューニングシジチューニングInstruction Tuning / インストラクションチューニング

ざっくりAIに「人の指示どおりに動く」という基本マナーを覚えさせる訓練です。

指示チューニング(インストラクションチューニング、Instruction Tuning)は、ファインチューニングの一種で、「○○して」「△△を教えて」といった命令に素直に従う習慣をAIに身につけさせる工程です。事前学習しただけのAIは「文章の続きを書く」のは得意でも、「要約して」と頼まれて要約を返すといった指示への応答は苦手でした。新人に業務知識だけでなく「頼まれたことに的確に応える」報連相の作法を教えるイメージです。今のChatGPTなどが頼みごとを理解してくれるのは、この訓練のおかげです。

使いどころ私たちが普段「要約して」「3案出して」と自然にお願いできるのは指示チューニング済みのモデルだからです。だからこそ、依頼は具体的に書くほど期待どおりの結果が返ってきます。

RLHFアールエルエイチエフRLHF / Reinforcement Learning from Human Feedback

ざっくり人が「この回答は良い・これは悪い」と評価し、その採点でAIをしつけていく仕組みです。

RLHF(アールエルエイチエフ、Reinforcement Learning from Human Feedback=人間のフィードバックによる強化学習)は、AIが出した複数の回答に人間が良し悪しの点数をつけ、高評価の答え方が増えるように調整していく手法です。新人の対応に上司が「この言い方は丁寧でいいね」「ここはぶっきらぼう」と毎回フィードバックして、接客態度を磨いていくのにそっくりです。これによってAIは、ただ正しいだけでなく「礼儀正しく・安全で・人に好まれる」答え方を身につけました。ChatGPTの受け答えが自然で感じが良いのは、この工程が大きく効いています。

使いどころ顧客対応にAIを使うとき、「失礼な回答や危険な回答を避けてくれる」のはRLHFのおかげです。とはいえ完璧ではないため、最終チェックは人が行う前提で運用します。

アライメントアライメントAlignment

ざっくりAIの行動を「人間が望む方向・社会のルール」にきちんと合わせることです。

アライメント(整合性、Alignment)とは、AIの能力が高くても暴走しないよう、その振る舞いを人間の意図や価値観に沿わせる取り組み全体を指します。優秀でも会社の方針を無視して勝手に動く社員では困るので、行動指針や倫理を共有しておくのと同じ発想です。具体的には「差別的な発言をしない」「危険な手助けをしない」「嘘で人を欺かない」といった枠を守らせます。RLHFなどはアライメントを実現する代表的な手段で、AIを安心して仕事に使うための土台になっています。

使いどころ業務でAIを導入する際、「不適切な発言や情報漏えいを誘う質問を断ってくれるか」を見極める観点になります。アライメントの効いたモデルほど、社外向け利用でも安心感が高まります。

コンテキストウィンドウコンテキストウィンドウContext Window

ざっくりAIが一度に読んで覚えていられる「文章の量=作業机の広さ」です。

コンテキストウィンドウ(Context Window)は、AIが一回のやり取りで同時に把握できる文章量の上限です。机の広さにたとえると分かりやすく、机が広いほど多くの資料を一度に広げて参照しながら作業できます。狭いと、新しい資料を置くために古い資料を片づける(=前半の会話を忘れる)ことになります。2026年時点では、本数冊ぶんに相当する非常に広いウィンドウを持つモデルも登場しており、長い契約書やマニュアルをまるごと読ませやすくなっています。

使いどころ分厚いマニュアルや長い議事録を丸ごと貼り付けて要約させたいときは、ウィンドウの広いモデルを選びます。会話が長くなってAIが前の話を忘れ始めたら、ウィンドウの上限に近づいたサインです。

トークン上限トークンジョウゲンToken Limit

ざっくりAIが一度に扱える言葉のかたまり(トークン)の最大数で、文章量の天井です。

トークン上限(Token Limit)は、AIが入力と出力で扱えるトークン(言葉の最小単位)の最大数のことです。トークンは単語や文字を細かく区切ったかたまりで、ざっくり日本語の1文字が1トークン前後と思っておけば十分です。この上限を超える文章は途中で切れてしまい、回答が尻切れになったり、貼り付けたのに後半が読まれなかったりします。コピー用紙の枚数制限のようなもので、超えるなら分割して渡す工夫が必要です。料金もこのトークン数で計算されることが多い点も覚えておくと無駄が減ります。

使いどころ長いレポートを一気に処理させて回答が途中で止まったら、トークン上限が原因です。資料を章ごとに分けて渡す、不要な部分を削る、といった対処で安定します。

埋め込みウメコミEmbedding / エンベディング

ざっくり言葉や文章の「意味」を、AIが計算で扱える数字の並びに変換したものです。

埋め込み(エンベディング、Embedding)は、文章の意味を数字のリストに置きかえたものです。これにより「意味が近い言葉どうしは数字も近くなる」ように整理でき、たとえば「解約」「キャンセル」「退会」が近い場所に配置されます。地図上で似た用途のお店が近くに集まっているイメージに近く、コンピュータが「言葉そのもの」ではなく「意味」で文章を比べられるようになります。後述するベクトル検索やRAGの心臓部です。

使いどころ表現が違っても意味の近い問い合わせをまとめたり、社内文書から関連資料を探し出したりする「意味で探す検索」の土台になります。

ベクトルベクトルVector

ざっくり意味や特徴を表すために並べた、たくさんの数字のセットです。

ベクトル(Vector)は、ここでは「複数の数字を一列に並べたもの」と考えれば十分です。AIは言葉や文章を、この数字の並びに変換して扱います。住所が「番地」だけでなく「緯度と経度」という数字の組で表せるのと同じで、数字にすることで「どれとどれが近いか」を計算で比べられるようになります。埋め込みで作られるのがこのベクトルで、意味の似たもの同士は数字としても近い位置に来ます。難しい数式は気にせず「意味を数字にした座標」とだけ押さえておけば実務では十分です。

使いどころ「言い回しは違うが内容が近い文書」を見つける仕組みの裏側で使われます。ユーザーが直接ベクトルを触ることはありませんが、意味検索やRAGの精度を理解する手がかりになります。

ベクトルデータベースベクトルデータベースVector Database

ざっくり文章を「意味の数字(ベクトル)」のまま保管し、意味が近いものを高速で探し出せる保管庫です。

ベクトルデータベース(Vector Database)は、埋め込みで数字に変えた文章を大量にしまっておき、「意味が近い文書」を素早く探し出すための専用の保管庫です。ふつうの検索が「同じ言葉が入っているか」で探すのに対し、こちらは「言い回しが違っても意味が近いか」で探せます。膨大な社内資料を意味でタグ付けして並べた巨大な書庫のようなもので、「解約の流れを知りたい」と尋ねれば、その言葉が一字も入っていない関連手順書まで引き当ててくれます。RAGを支える縁の下の力持ちです。

使いどころ社内マニュアル・過去の問い合わせ・契約書などをためておき、AIが質問に応じて関連箇所を引っぱり出す「社内版AI検索」の基盤になります。

RAGラグRAG / Retrieval-Augmented Generation

ざっくりAIに答えさせる前に「関連資料を検索して手渡し」、それを見ながら回答させる仕組みです。

RAG(ラグ、Retrieval-Augmented Generation=検索拡張生成)は、AIが知識だけで答えるのではなく、まず関連資料を検索して、それを読んだうえで回答させる方法です。たとえるなら、記憶だけで即答させるのではなく「該当するマニュアルを開き、そこを見ながら答えてもらう」やり方です。これには大きな利点が三つあります。第一に、社内マニュアルや最新の料金表などAIが本来知らない自社情報に基づいて答えられること。第二に、「どの資料を見て答えたか」という出典を示せること。第三に、根拠のない作り話(ハルシネーション)を減らせることです。しかも資料を差し替えるだけで内容を更新でき、ファインチューニングのように学習し直す必要がありません。2026年現在、社内情報を扱うAI活用の本命的なやり方で、当社のような中小企業が自社データをAIに使わせる第一候補になります。仕組み上、「ベクトルデータベースで関連資料を探す→AIに渡す→回答させる」という流れで動きます。

使いどころ「自社の就業規則」「最新の商品仕様」「過去の見積もり事例」などをためておき、社員の質問に出典付きで答えるAI問い合わせ窓口がつくれます。情報が変わっても資料を入れ替えるだけで済むのが現場で重宝します。

グラウンディンググラウンディングGrounding

ざっくりAIの回答を「確かな根拠資料」に結びつけて、思いつきの作り話をさせないことです。

グラウンディング(Grounding、接地)とは、AIの答えを信頼できる事実や資料に紐づけて裏づける考え方です。「地に足のついた回答にする」というニュアンスで、根拠もなく断定する社員に「ちゃんと資料で確認してから答えて」と求めるのに似ています。RAGは、このグラウンディングを実現するための代表的な手段です。回答に出典を添えられるので、利用者が後から正しさをチェックでき、業務でAIを安心して使うための鍵になります。

使いどころ金額・契約条件・法令の説明など「間違いが許されない回答」をAIにさせる場面で、必ず根拠資料に基づかせる設計の合言葉になります。出典が示せるかどうかが導入判断の分かれ目です。

ハルシネーションハルシネーションHallucination / 幻覚

ざっくりAIが、もっともらしい口ぶりで「事実と違うこと」を堂々と言ってしまう現象です。

ハルシネーション(幻覚、Hallucination)とは、AIが事実ではない内容を、いかにも本当らしく答えてしまうことです。LLMは「次に来そうな言葉」を選んでいるだけなので、知らないことでも自信ありげに「それらしい答え」を作ってしまう性質があります。たとえば実在しない条文番号や、存在しない製品の型番、出典のない統計などをスラスラ述べることがあります。記憶があやふやなのに「たぶんこうでしたよ」と断言してしまう人に近く、口調が自信満々なぶん見抜きにくいのが厄介です。これはAIの欠陥というより仕組み上どうしても起きうるもので、完全にゼロにはできません。だからこそ、金額・固有名詞・日付・法令など正確さが命のところは、AIの答えを鵜呑みにせず必ず人が裏取りすることが鉄則です。RAGやグラウンディングは、このハルシネーションを減らすための代表的な対策です。

使いどころ顧客への回答メールや見積もりにAIを使うとき、料金・納期・契約条件などの数字や固有名詞は必ず原典で確認してから送る、という運用ルールづくりの根拠になります。たたき台づくりは任せ、事実確認は人が握るのが安全です。

知識カットオフチシキカットオフKnowledge Cutoff

ざっくりAIが「いつまでの情報を学んだか」という、知識の締め切り日です。

知識カットオフ(Knowledge Cutoff)は、そのAIが学習に使った情報の最終時点を指します。事前学習はある時期で区切って行われるため、それ以降に起きた出来事や新しい制度・価格は、AI自身は知りません。少し前に発行された分厚い辞書のようなもので、中身は充実していても「出版後の新情報」は載っていない、というイメージです。締め切り後の話を尋ねると、知らないがゆえに前項のハルシネーション(作り話)が起きやすくなります。最新情報が必要なときは、Web検索機能やRAGで新しい資料を一緒に渡してあげるのが正解です。

使いどころ最新の法改正・料金改定・新サービスについてAIに尋ねるときは、知識カットオフより新しい話かを意識し、必要なら最新資料を添えて確認します。「いつの情報?」と一度疑う習慣が誤回答を防ぎます。

文脈内学習ブンミャクナイガクシュウIn-Context Learning / インコンテキストラーニング

ざっくりその場の指示や例を見せるだけで、AIがコツをつかんで対応を変えてくれることです。

文脈内学習(インコンテキストラーニング、In-Context Learning)とは、AIを訓練し直さなくても、プロンプトの中に書いた例や指示だけでその場で要領をつかむ性質のことです。たとえば「次の形式で書いてください」と見本を2〜3個示すと、続きも同じ形式で出してくれます。新人に正式な研修をしなくても、お手本を一度見せれば「ああ、こういう感じね」と真似してくれるのに似ています。モデル本体は変わらない(覚え込ませているわけではない)ので、その会話が終わればコツも持ち越されない点に注意が必要です。

使いどころ請求書の文面や報告書の型をAIに守らせたいとき、理想の見本を1〜2個プロンプトに貼るだけで、以降の出力をその型に揃えられます。手間の少ないカスタマイズ術として日常的に使えます。

創発的能力ソウハツテキノウリョクEmergent Abilities

ざっくりAIをある規模まで大きくしたとき、急に「教えていない芸当」までできるようになる現象です。

創発的能力(Emergent Abilities)とは、モデルを十分に大きくしていくと、ある段階から突然新しい力(複雑な推論や翻訳、計算など)を見せ始める現象です。小規模なうちは苦手だったことが、規模が一定を超えたとたんできるようになる、という不連続な伸び方をします。少人数の頃はできなかったことが、組織が一定規模を超えると急に回り始める会社にも似ています。AIがなぜここまで賢くなったのかを語るうえで重要なキーワードですが、何が・いつ出現するかを事前に予測しきるのは難しいとされています。

使いどころ「最新の大きいモデルは、前の世代では無理だった複雑な作業もこなせる」可能性がある、という期待の根拠になります。新しいモデルが出たら、過去にあきらめた業務をもう一度試す価値があります。

スケーリング則スケーリングソクScaling Laws

ざっくり「データ・計算量・モデルの大きさを増やすほど、AIは順当に賢くなる」という経験則です。

スケーリング則(Scaling Laws)は、AIに与えるデータ量・計算資源・モデルの規模を大きくしていくほど、性能が一定の傾向で伸びていくという経験的な法則です。「人手とお金と時間をかけるほど成果が上がる」というビジネスの肌感覚に近いですが、AIの場合この関係がかなりきれいに観測されたため、各社が競って巨大化に投資する根拠になりました。前項の創発的能力も、この「大きくするほど良くなる」流れの延長で現れます。ただし規模拡大にはコストも比例して膨らむため、近年は「賢く効率化する」方向の工夫も重視されています。

使いどころ「なぜ毎年AIが急速に賢くなるのか」「なぜ各社が巨額投資しているのか」を理解し、AI活用の波に乗る判断材料になります。技術トレンドの背景知識として押さえておくと商談でも役立ちます。

推論モデルスイロンモデルReasoning Model / リーズニングモデル

ざっくり答える前に「じっくり考える」工程を挟んで、難しい問題の正答率を上げたAIです。

推論モデル(リーズニングモデル、Reasoning Model)は、即答せずに頭の中で段階を踏んで考えてから答えを出すように作られたLLMです。難問を前に「まず条件を整理して、順番に検討して…」と下書きしてから結論を書く人と同じで、計算・論理パズル・複雑な計画づくりなどで正確さが上がります。2026年現在の主要AIには、こうした「考える時間を多めに取る」モードが備わっていることが増えました。そのぶん回答に時間と費用が余分にかかるため、簡単な用件には通常モード、込み入った検討には推論モデル、と使い分けるのが賢い使い方です。

使いどころ複雑な料金シミュレーション、条件が絡み合う契約内容の整理、段取りの多い計画立案など「一発で当てにくい考えごと」をAIに任せたいときに選びます。逆に定型のメール作成などには使わず、コストを抑えます。

SLMエスエルエムSLM / Small Language Model

ざっくりあえて小さく作り、軽く・安く・手元でも動かせるようにした言語モデルです。

SLM(エスエルエム、Small Language Model=小規模言語モデル)は、LLMの軽量版にあたるAIです。巨大モデルほど何でもこなせるわけではありませんが、用途を絞れば十分実用的で、動作が速く・費用が安く・自社のパソコンや社内サーバーでも動かしやすいのが強みです。何でも屋のベテランより、特定業務に特化した身軽な担当者、というイメージです。社外にデータを出したくない、毎回の処理コストを抑えたい、といった事情のある中小企業にとって、現実的な選択肢として2026年に注目が高まっています。

使いどころ機密文書を社外に出さずに要約・分類したい、決まった定型処理を大量かつ安価に回したい、という場面で「大きいモデルでなくても回せないか」を検討する切り札になります。

MoEエムオーイーMoE / Mixture of Experts

ざっくり分野ごとの専門家チームを内部に持ち、質問に応じて必要な専門家だけを呼び出す仕組みです。

MoE(エムオーイー、Mixture of Experts=混合エキスパート)は、一つの大きなAIの中に得意分野の異なる多数の「専門家」を用意し、入ってきた質問ごとに関係する専門家だけを働かせる作り方です。全社員を毎回総動員するのではなく、案件に応じて適切な担当者だけを招集する会社運営に似ています。これにより、モデル全体は巨大で物知りなのに、一回の処理では一部しか動かさないので速くて省コストを両立できます。大規模化のコスト問題を和らげる代表的な工夫として、近年の高性能モデルで広く採用されています。

使いどころ「賢いのに、思ったより安く・速い」最新モデルの裏側にはこの仕組みがあることが多く、コストと性能のバランスでモデルを選ぶときの背景知識になります。直接設定する場面はありません。

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言葉が分かったら、次は自社の業務に当てはめる番です

最適AIは、法人向けのAI研修・AI受託開発・AI顧問を提供しています。大阪本社に加えて岡山・広島・高松に拠点があり、中四国は対面でも伺えます。初回相談は無料です。

この用語集は、最適AIが法人向けAI研修「最適スクール」の受講者向けに作成した教材をもとに公開しています。2026年時点の一般的な用法をビジネス初学者向けにまとめたもので、特定の製品・サービスの推奨を目的とするものではありません。用語の意味や範囲は今後変わることがあります。