用語ガイド

発注前に押さえる、
生成AIの用語15語。

AIの提案書は、知らない言葉が並びます。ただ、全部を理解する必要はありません。 重要なのは「その言葉の意味が決まると、費用か作業範囲が変わる」ものだけです。 15語について、意味と発注側として確認すべきことを並べました。商談の場でそのまま質問に使えます。

公開:2026年9月8日 対象:AI導入の提案を受けている経営・情報システム・管理部門 読者:提案書を読んでいる段階の方

先に結論:この5語だけ押さえれば足ります

提案書の用語を全部理解する必要はありません。意味が決まると費用か作業範囲が変わる言葉だけが重要です。

モデル名とバージョン ② トークン(API利用料の単位) ③ PoCの判定条件 ④ オプトアウト(入力が学習に使われるか) ⑤ 「内製化」が何を指しているか

用語そのものより、「確認すべきこと」を並べます

生成AIの用語集はすでに世の中にたくさんあります。この記事は意味の説明が目的ではありません。 その言葉が提案書に出てきたとき、発注側として何を確認すればよいかを各語に1つずつ付けました。 商談の場でそのまま質問に使える形にしてあります。

提案書に出てくる15語

用語意味発注時に確認すること
生成AI文章・画像・コードなどを新しく作り出すAIの総称。従来の「分類する・予測する」AIと違い、出力が毎回同じとは限らない。「AIを導入」だけでは何も決まらない。どの業務のどの作業に使うのかを1つに絞って話す
LLM(大規模言語モデル)大量の文章を学習した、言語を扱うモデル本体。ChatGPT・Claude・Geminiなどは、このモデルを使ったサービス名。提案書のモデル名はバージョンまで確認する。世代が変わると費用も精度も変わる
プロンプトAIへの指示文。同じモデルでも指示の書き方で結果が大きく変わるため、業務で使うなら指示を設計して社内で共有する必要がある。「プロンプト集を納品」の場合、誰が更新するのかを決めておく
トークンAIが文章を扱う単位。日本語はおよそ1文字が1トークン前後。API利用料はトークン数で決まるため、扱う文章量がそのまま費用になる。API利用の提案では月間の想定トークン数と上限を必ず聞く
ハルシネーションAIが、事実でないことをもっともらしく出力すること。ゼロにはできないため、業務では「誰がどこで確認するか」を設計する。「精度100%」と書かれた提案は疑う。間違えたときの確認手順があるかを見る
RAG(検索拡張生成)社内文書などを検索してから回答させる仕組み。モデル自体は変えずに、自社の情報に基づいた回答をさせられる。どの文書を対象にするかと、更新されたら誰が入れ直すかを確認する
ファインチューニングモデル自体を追加学習させて挙動を変えること。費用と手間が大きく、多くの業務課題はプロンプト設計かRAGで足りる。最初から提案されたらなぜプロンプトやRAGでは足りないのかを聞く
AIエージェント指示を受けて、複数の手順を自分で判断しながら実行するAI。単発の質問応答より自動化の範囲が広いぶん、権限設計が重要になる。どこまで自動で実行させ、どこで人が承認するかの線引きを先に決める
MCPAIが外部のツールやデータに接続するための共通仕様。これにより、AIが社内システムを直接操作できるようになる。接続先ごとに読み取りだけか、書き込みもできるのかを確認する
PoC(実証実験)本格導入の前に、小さく試して効果を確かめる工程。PoCの時点で何がどうなれば本番に進むのかの判定条件を先に決める。決めないとPoCが繰り返される
内製化外部に発注せず、自社の人員で作り・直せる状態にすること。完全に自社だけで行う形と、伴走を受けながら段階的に移す形がある。「内製化支援」の提案では最終的に何が自社に残るのかを具体的に確認する
API外部のサービスを、画面ではなくプログラムから呼び出す仕組み。AIを自社システムに組み込む場合はこれを使う。利用料を誰の契約で払うのか(自社契約か、開発会社の契約か)を必ず確認する
オプトアウト(学習に使われない設定)入力した内容をAIの学習に使わせない設定。法人向けプランでは既定でオフになっていることが多いが、プランと契約による。機密情報を扱うなら使用するプランの規約で確認する。口頭の説明で済ませない
オンプレミス/クラウド自社の設備内にシステムを置くか、事業者のクラウド上に置くか。生成AIは大半がクラウド利用になる。データがどこに置かれるかで社内規程に触れる場合がある。規程の確認は発注前に行う
FDE(Forward Deployed Engineer)エンジニアが顧客企業の現場に入り込み、業務を一緒に見ながらその場で実装し、定着まで見届ける関わり方。受託開発と内製化支援の中間にあたる。常駐が必須か、訪問頻度と期間がどう設計されるかを確認する

とくに揉めやすい3つ

① トークン ― 「使った分だけ」の請求は、上限を決めておく

AIを自社システムに組み込む場合、利用料は処理した文章量(トークン数)で決まります。 日本語はおよそ1文字が1トークン前後です。使い始めてから想定の何倍も処理していた、ということが起こりえます。

確認するのは3点。月間の想定トークン数上限を設定できるか、 そしてその契約は自社名義か開発会社名義か。3つ目は、開発会社との契約が終わったときに誰がAPIを持つかという話になるので、後から効いてきます。

② PoC ― 判定条件を先に決めないと、終わらない

PoCが本番に進まないまま終わる案件は珍しくありません。原因の多くは技術ではなく、 「何がどうなれば本番に進むのか」を始める前に決めていないことです。

決めていないと、結果が出ても「もう少し試してみよう」となり、PoCが繰り返されます。 対象業務を1つに絞り、着手前にその業務の所要時間か件数を記録し、 どの数字がどう変わったら本番に進むかを紙に書いてから始めてください。

③ 内製化 ― 言葉が指す範囲が、会社ごとに違う

「内製化支援」という言葉は広く使われていますが、指している範囲は各社で違います。 社員が生成AIを使えるようになることを指す場合もあれば、社員が自分でツールを作れるようになることを指す場合もあり、 納品物を社内で改修できる状態にすることを指す場合もあります。

確認すべきは1つだけです。「終わったとき、自社に何が残っていますか?」 資料なのか、動くツールなのか、直せる人なのか。ここを具体的に答えられる提案かどうかで判断できます。 このあたりはAI導入支援会社の選び方でも触れています。

ハルシネーションは、なくすものではなく、想定するもの

生成AIが事実でないことをもっともらしく出力する現象を、ハルシネーションと呼びます。 現時点でこれをゼロにする方法はありません。RAGなどで社内文書に基づかせれば減りますが、なくなりはしません。

なので業務で使うときの設計は、「間違えない前提」ではなく「間違えたときに誰がどこで気づくか」で組みます。 提案を受けるときも、精度の数字より、この確認手順が設計に入っているかを見てください。 入っている提案のほうが、実務では信頼できます。

よくあるご質問

生成AIの用語がわからないまま、発注してよいですか?

全部を理解する必要はありません。ただ、提案書に出てくる言葉のうち「その言葉が指すものが決まると、費用か作業範囲が変わる」ものだけは押さえておくと安全です。具体的には、モデル名とバージョン、トークン(API利用料の単位)、PoCの判定条件、オプトアウト(入力内容が学習に使われるかどうか)、そして内製化という言葉が何を指しているかの5つです。この5つを質問できれば、あとは提案側に説明させて構いません。

RAGとファインチューニングは、どちらを選ぶべきですか?

多くの業務課題は、プロンプト設計かRAGで足ります。ファインチューニングはモデル自体を追加学習させるもので、費用と手間が大きく、学習させたあとに元データが変わると作り直しになります。最初からファインチューニングを提案された場合は「なぜプロンプト設計やRAGでは足りないのか」を聞いてください。合理的な説明が返ってくるなら妥当ですし、返ってこないなら過剰な提案の可能性があります。

入力した社内情報が、AIの学習に使われてしまうのが不安です。

法人向けのプランでは、入力内容を学習に使わない設定が既定になっていることが多いですが、プランと契約によって異なります。口頭の説明で済ませず、実際に使用するプランの規約で確認してください。あわせて、社内のどの情報までAIに入れてよいかというルールを先に決めておくと、現場が判断に迷わなくなります。ルールづくり自体も相談の対象になります。

「精度99%」といった数字は信用してよいですか?

何を分母にした数字かを確認してください。生成AIは同じ入力でも出力が揺れるため、条件を固定しない限り精度は定義できません。また、ハルシネーション(事実でないことをもっともらしく出力すること)は現時点でゼロにはできません。重要なのは精度の数字より、間違えたときに誰がどこで気づく設計になっているかです。そこを説明できる提案のほうが、実務では信頼できます。

PoCをやったのに、本番に進まないまま終わってしまいました。

よくある止まり方です。原因の多くは、PoCを始める前に「何がどうなれば本番に進むのか」という判定条件を決めていないことにあります。判定条件がないと、結果が出ても「もう少し試そう」となり、PoCが繰り返されます。次にPoCを行うときは、対象業務を1つに絞り、着手前にその業務の所要時間や件数を記録し、どの数字がどう変わったら本番に進むかを先に紙に書いてから始めてください。

読んで判断がつかないところは、直接どうぞ。

発注内容が決まっていない段階のご相談で構いません。研修開発顧問はそれぞれ単独でご契約いただけます。大阪・関西と岡山・広島・香川など中四国は対面訪問、全国はオンラインで対応しています。初回相談は無料です。