内製の実務

備品管理を内製したら、
最初に困ったのは機能ではなくデータでした。

「どこに何があるか」を調べるのに、毎回人に聞く。備品管理がその状態になっている会社は多いと思います。グループ会社の最適でんき(電力小売)などグループ各社の備品とソフトウェアライセンスの管理を作り直したとき、いちばんやっかいだったのは機能ではなくデータでした。その順番の話を書きます。

Excelの備品台帳から移行する前に →

公開 2026年9月8日更新 2026年11月3日著者 小屋淳/AI事業部マネージャー最適AI株式会社

先に結論

① データの経路を先に通し、画面はあとから作る。逆にすると中身が空のきれいな画面ができます。

② 台帳は「探す」ためではなく「現物から開く」ために作る。検索させると使われません。

③ 備品情報には見せてはいけない項目が混ざっている。台帳と閲覧画面で出す範囲を分けます。

散らばっていたものを、1か所に集める

もともとは表計算ソフトと別の業務システムに情報が分かれていました。買った日は表計算、誰が使っているかは別のシステム、 ライセンスの本数はまた別。どこに何があるかを調べるのに、毎回人に聞く状態です。

作り直すと決めたとき、最初に手をつけたのは画面ではありません。それまで使っていた別の業務アプリから情報を書き出して、新しい仕組みへ移すところでした。 ここを後回しにすると、画面はできているのに中身が入っていない状態になります。中身が入っていない台帳は、現場から見れば存在していないのと同じです。

台帳は「探す」ものではなく「現物から開く」もの

備品台帳がうまくいかない典型は、探すのが面倒で誰も開かなくなることです。機材の型番を思い出して検索窓に打ち込む、という動作は続きません。

そこで、現物に貼ったコードを読み取ると、その備品のページが直接開く形にしました。貸出も返却も同じ入口です。 棚卸しのときに端末を持って歩き、読み取って確認する。探す動作をなくすと、台帳は使われるようになります。

ここは注意:備品情報には、見せてはいけないものが混ざる

端末の台帳を作ると、管理のために必要な情報が自然と集まってきます。端末を開くための番号、ディスク暗号化の回復用の情報、 遠隔操作ツールの識別子、ソフトウェアのライセンスキー。これらは台帳には要りますが、読み取って開いた画面に出してよいものではありません。

コードは現物に貼ってあるので、その端末に触れる人なら誰でも読み取れます。つまり閲覧画面は、社内の誰が開いてもよい前提で作る必要があります。 この仕組みでは機密にあたる項目をサーバー側で取り除いてから返すようにしました。画面側で隠すのではなく、そもそも送らないという形です。

画面で隠す実装は、通信の中身を見れば残っています。見せない情報は、画面に出さないのではなく、返さない。権限まわりは機能を作り終えたあとで足すと漏れます。同じ考え方を代理店管理の画面に適用した例は「「重複しています」と伝えるだけで、営業先が漏れます」に書いています。

担当者の欄に、退職者を残さない

備品の担当者を選ぶ画面に退職者が残っていると、貸出中のまま行き先の分からない機材が積み上がります。 在籍状態を持たせて、退職した人は選択肢そのものに出さないようにしました。運用ルールで気をつけるのではなく、画面から消すほうが確実です。

この順番で進めると、詰まりにくい

順番やること後回しにすると
1既存データの書き出しと移行の経路を通す中身が空の台帳ができる
2現物から開く入口(コード読み取り)を用意する検索が面倒で使われなくなる
3閲覧画面で返す項目と返さない項目を分ける機密情報が誰でも見られる状態になる
4在籍状態で担当者候補を絞る退職者に貸出中の機材が残る

この備品管理は、人事労務やグループウェアにあたる部分とあわせて管理部(総務)が主体で構築し、今もグループ全社で動いています。 作るところは業務を知っている人がいれば進みます。詰まるのは、その後を誰がどう支えるかを決めていなかったときでした。

Excelの備品台帳から移行する前に

Excelの備品管理をシステムへ移すとき、最初に何を整理しますか?

備品を一意に識別する管理番号、品名、保管場所、使用者、貸出状態など、移行する項目と正本を決めます。同じ備品が複数のファイルにある場合は、重複を確認してから取り込みます。いきなり全件を移さず一部で試し、件数と内容を照合し、元データへ戻せる状態を保ちます。これは移行の確認手順であり、特定のツールだけで自動的に解決するものではありません。

備品のQRコード管理では、何をコードに入れますか?

備品を識別する番号や、その備品の閲覧ページへのURLを使います。パスワードやライセンスキーなどの機密情報はコードに入れません。URLを知っているだけで機密項目が見えないよう、ログインと権限をサーバー側で確認します。棚卸しの確認と貸出・返却の更新を誰ができるかも分けて決めます。

備品管理を内製するか、既存サービスを使うかはどう判断しますか?

既存サービスで必要な台帳・棚卸し・貸出管理を満たせるなら、導入後の保守負担を含めて比較します。社内の人事情報との連携や独自の承認が必要な場合は、追加設定で対応できるかを確かめたうえで内製を検討します。作る費用だけでなく、担当者の異動、データの書き出し、障害時の対応まで決めてから選びます。

業務システムの開発相談を確認し、判断がつかない点はこのページからご相談ください。

よくあるご質問

備品管理は市販のツールではだめですか?

自社の運用に合っていれば市販のもので十分です。内製を選ぶ理由になるのは、既存の別システムからデータを引き継ぎたい、社内の呼び方をそのまま項目名にしたい、他の社内システムと同じ入口で使いたい、といった接続まわりの要件が強いときです。

QRコードを貼ると、誰でも情報が見えてしまいませんか?

そのとおりで、コードは現物に貼ってある以上、その端末に触れる人なら誰でも読み取れます。だからこそ閲覧画面は社内の誰が開いてもよい前提で作り、端末を開くための番号や暗号化の回復情報、ライセンスキーといった機密項目はサーバー側で取り除いてから返すようにしています。画面側で隠すだけでは通信の中身に残ります。

移行に一番時間がかかるのはどこですか?

既存データの書き出しと突き合わせです。同じ備品が別のシステムで別の名前で登録されていることが普通にあります。ここを先に通してから画面を作り込むと、後戻りが小さくなります。

「これ、自分たちで作れるのか?」の判断から

作るべきか、買うべきか、頼むべきか。その線引きから一緒に整理します。研修・開発・顧問はそれぞれ単独でご契約いただけます。現場に入り込んで実装まで担う関わり方は FDE(現場伴走・実装支援) としてご提供しています。

本ページは、グループ会社の最適でんき(電力小売)をはじめとするグループ各社が自社業務のために構築・運用している社内システムの実例をもとにしています。グループ各社の法人名、社内の規模を示す具体的な数値、担当者名、連携している外部サービスの製品名、システムの識別子やセキュリティ項目の個別名称は記載していません。
用語の意味を確かめたい場合は AI用語集(260語・無料) をご利用ください。

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資料「AI研修と受託開発、どちらから始めるべきか ― 発注前の判断表」の表紙
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この資料に金額は記載していません。費用は対象業務の範囲・回数・形式・体制によって変わるため、判断の順番と比較のしかただけを扱っています。

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